法的思考力を持った、新世代キャリアコンサルタントにならなければならない理由
木村周先生が
労働政策の展望「これからのキャリア・コンサルティングに求められるもの」|労働政策研究・研修機構(JILPT)
で下記のように述べられています。
「多くのコンサルタントは、カウンセラー出身者が多く、そのためとかく個人の支援にとらわれる。キャリア・コンサルタントは、何が出来るかのまえになにをすべきか、役割を考えるべきである。」
確かに、カウンセラー冥利といいますか、目の前のクライアントが自信を取り戻したり、変容していく姿には、言葉には代えがたいやりがいがあると感じます。
しかし、「国家資格者たるキャリアコンサルタント」であろうとするなら、それだけでは足りないと木村先生は述べられているわけです。
第1回の国家試験キャリアコンサルタント学科試験過去問を分析していて感じるのは、
「カウンセリング力にプラスして法的思考力と情報収集力」が必要だということ。
今回、「法律上キャリアコンサルティングとは何か」という問い、また「業務独占」についての問いや「法人格の違い」の問い、助成金制度という「情報提供」についての問い、そして相談場面という実務上必須の問い(録音・カウンセリングルームの施錠)も出題されました。
何のためにこれらを問うているのでしょう?
もちろん、これらが全て「国家資格者たるキャリアコンサルタント」に求められているからだと。
そう強く感じる出題でした。
ではここで、私から「キャリアコンサルタント」「キャリアコンサルタント受験生」の皆様に問いましょう。
あなたは独立系キャリアコンサルタントとします。
CL個人から依頼があり、最近上司からパワハラがあるので、悩みを聞いてほしいといわれ、カウンセリングを行いました。
確かに話を聴く限り、その上司は酷かった。そしてCLから「できたらキャリコンとして上司に話をしてみて欲しい」と頼まれたとします。
職場環境へ働きかけることも、もちろんキャリアコンサルタントの仕事ですので、そのCLのことについて、上司と面談できたとしましょう。
その数日後
CLの勤務する企業の顧問弁護士から内容証明が届きました。
何事かと開封すると、、
「キャリアコンサルタントである「あなた」が行っている職場への介入は、「弁護士法72条違反」であり、訴える」と記載されていました。
参考:弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
さてどうしますか?
環境への働きかけを考えるなら、もちろんこのような事態も想定されるのです。
これが法的思考力が必須となる理由です。
環境へ働きかけると言うことは、CLと一対一の世界を離れると言うことです。
だからキャリアコンサルタントには法的思考力や情報収集力が必要となるのです。
だから学科試験で「独占業務」という法律概念・用語が出題されているのです。
答えは個々人で異なるはずです。ぜひ思考実験ということで考えてみてください。
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