キャリアコンサルタントとして「スキルの証明」について考える
スキルは客観的に証明できるように心がける
日本は規制大国
言うまでもなく、日本は「規制国家」と揶揄されるほど、行政による多種多様な規制があります。
例えば、脱サラして本格的に農業をはじめようと考えても、農地の取得に一苦労したり、 タクシー運転手になりたいと思っても、二種免許が必要、とかですね。
そして建設業にも許可があり、基本的には500万円以上の工事には建設業の許可が必要です。
その「実務経験」は「証明」できるのか
この建設業の許可を取得しようと思ったとき、事業者は様々な要件をクリアしなければなりません。
そのひとつに、 「専任の技術者がいること」 というものがあります。 この「専任技術者」になるには、「国家資格等の資格」又は「実務経験」が必要なんですね。
「実務経験」で要件を満たそうとすると、基本的には10年の実務経験が必要となります。 そして、これを「証明」しなければなりません。
自分で「私は建設業を個人で15年自営していたから、専任技術者としての要件を満たします」と説明するだけでは認めてもらえません。
各都道府県や地方整備局によって扱いが異なりますが、その10年間、工事をしていた証明を行うために、
・注文書
・工事契約書
・請求書
といった書類が必要になります。
これらがなければ、本当に実務経験を有していたとしても、役所は一切認めてくれないのです。
認めてくれなければ、ゼロです。無かったことと一緒の扱いになります。
厳しいかもしれませんが、建設業という、金額的にも大きく、また社会的にも影響の大きな事業を営むには、それだけの能力的基礎を有しなくてはならない、という行政の考え方があるわけですね。
キャリコンとしてCLの「スキルの証明」を考える
建設業許可を例に、実務経験(スキルを有しているという根拠)の証明についてお話ししましたが、例えばこれが就転職活動だったらどうでしょう。
面接の際も、能力(スキル)は客観的に証明できるに越したことはありません。
例えば、
・職業能力評価基準を用いた評価制度をクライアント先に提案する。
・退職時は可能な限り「円満退職」を心がけ、「証明してくれない・言いづらい」状況になることを避ける。
・できるだけ、「国家資格」や「技能検定」といった公的資格で証明できるようにしておくことを勧める。
といった「助言・指導」が考えられます。
(この点に関しては傾聴主体で気づいてもらうより、助言したほうが早いです)
キャリアコンサルティングの際には、このような観点も頭の片隅に置いておいて下さいね。